公立大学法人 福島県立医科大学医学部 消化器内科学講座

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留学だより

神奈川県立がんセンターへの留学

紺野 直紀

留学先 神奈川県立がんセンター 消化器内科(肝胆膵)
期間 2020年4月~2021年3月

私は、2020年4月から2021年3月まで、横浜市の神奈川県立がんセンターで留学させて頂きました。2018年4月から留学されていた浅間宏之先生と入れ替わる形での留学となりました。コロナ禍での留学でしたが、充実した留学生活を過ごさせていただきましたので、ご報告いたします。

●神奈川県立がんセンターについて

神奈川県立がんセンターは横浜市の北部にある旭区に位置しています。旭区の人口はおよそ25万人で、福島市と同じくらいの人数です。最寄り駅は相鉄線の二俣川駅で、JR横浜駅から電車で15分ほどのところにあります。二俣川駅からがんセンターまでは、徒歩で15分くらいです。がんセンターの近くには、神奈川県唯一の運転免許センターがあり、二俣川駅からがんセンターに向かう人の中には、免許センターを利用目的の人もいます。

病床数は415床で、28の標榜科があります。都道府県がん診療連携拠点病院や日本臨床腫瘍学会認定研修施設、日本消化器内視鏡学会指導施設等、多数の学会等施設認定を受けています。

神奈川県立がんセンターの特筆すべき施設の一つに、重粒子線治療施設があります。同施設は、平成27年12月に全国で5番目に治療を開始しました。炭素イオンを光速の約70%まで加速させた重粒子線をがん細胞に照射することにより、X線や陽子線よりもがんを殺傷する能力が高いとされています。また、身体の深部のがんのみを集中的に照射する点も重粒子線の特徴です。消化器癌では、肝細胞癌と局所進行膵癌に対し、先進医療で治療適応があります。治療費は約350万円と高額ですが、低侵襲の治療を求めて多くの患者さんが紹介受診されていました。

●消化器内科(肝胆膵)での研修について

浅間先生も報告されていますが、消化器内科(肝胆膵)では非常に多くの肝胆膵腫瘍の患者さんを診療しています。私は週2回の外来診療を行い、全身化学療法を行う患者さんに加えて、新患の患者さんを毎回診療していました。私自身、1年間で45例の膵癌の患者さんに全身化学療法をさせていただきました。また、胆道癌・肝癌の患者さんも、それぞれ10例・4例ずつ全身化学療法をさせていただきました。加えて、手術の適応となる患者さんもまずは消化器内科(肝胆膵)で検査を行うため、非常に多くの症例を経験することができました。全身化学療法は、定まったレジメンで治療を行っていくわけですが、治療効果や有害事象は千差万別でした。特に、有害事象の対応については、私一人では対応できないことも多くありましたが、周りの先生方に相談にいつでものっていただき、最善の治療を行うことができました。また、神奈川県立がんセンターでは臨床試験や治験を数多く行っており、それらに該当する症例も経験することができました。適格性の確認やプロトコール遵守の重要性を改めて認識することができました。

内視鏡診療については、診断のためのEUS-FNAや胆道ドレナージ目的のERCPを中心に、非常に多くの症例を経験することができました。私が神奈川県立がんセンターにいた1年間の間に、ERCPは895例、胆膵EUSは465例ありました。このうち、術者としてERCPを144例、EUS-FNA関連手技を32例させて頂きました。中には、難しい症例もあり、周りの先生に何度も助けて頂きました。その度に、リカバリーのバリエーションを増やすことができ、現在の診療にとても役立っています。

●最後に

コロナ禍で人流が制限されている中、留学の機会を与えてくださりました大平弘正教授、高木忠之准教授をはじめ、医局の先生方に厚く御礼申し上げます。

神奈川県立がんセンターで学んだことを、一人でも多くの患者さんや医局の先生方に還元させていただきたいと思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

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