診療・研究内容について
当講座では4つのグループ(上部消化管、下部消化管、肝臓、胆膵)に分かれて、スペシャリストとしての高度な医療を行っております。専門Gを決める前には各グループのローテーション・関連病院の研修で腹部エコー、上下部消化管内視鏡、大腸ポリペクトミー、超音波内視鏡(EUS)、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)、経皮経肝胆道ドレナージ術、肝生検、経皮的肝膿瘍ドレナージ術などの各分野の基本的な診療・手技の習得が可能です。
基礎研究においては、臨床の視点から病態に迫るもの、今後の診療に応用・発展できるトランスレーショナルなものまで基礎講座とも連携して幅広いテーマで取り組んでいます。また、若手の先生方が日々の臨床で気づいた疑問点を解決すべく、臨床研究や基礎研究の立案から論文作成までサポートする環境が整っています。
各グループの診療・研究・教育に関して
上部消化管グループ
上部消化管病変に対して幅広い内視鏡検査・治療を行っております。上部消化管腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、修練と技術が要求されますがブタの胃を用いたハンズオンのトレーニングを行っております。基礎研究では胃癌細胞を用いて新規薬剤の創薬を目指しております。
下部消化管グループ
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、大腸腫瘍の診断・内視鏡治療(EMR/ESD)、小腸領域(小腸鏡/カプセル内視鏡)、そしてポリポーシスなどの小腸・大腸疾患の治療を行っております。近年行われているコールドポリペクトミーに関しても大腸内視鏡の挿入・観察とともに積極的に実施・教育・指導を行っております。
研究分野に関しましては、炎症性腸疾患の病態解明・新規治療のために、モデルマウスなどを作製し研究を行っております。また、画像やバイオマーカーを用いた新たな非侵襲的な炎症性腸疾患の評価方法も模索しております。
肝臓グループ
肝グループは肝悪性腫瘍、急性肝疾患(肝不全、急性肝炎)、慢性肝疾患(肝硬変、慢性肝炎など)の診断・治療を行っており、特に難治性の自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎)の診断・治療においては国内で中心的な役割を担っています。肝細胞癌に対しては、近年進歩が目覚ましい免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬による治療の他、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、ラジオ波焼灼療法(RFA)も行っております。
研究におきましては、自己免疫性肝疾患における腸内細菌、補体や新規自己抗体から病態の解明・診断能の向上を目指す基礎研究、肝細胞癌・肝硬変に関して新規診断・予後予測マーカーの検証、非アルコール性脂肪肝疾患のエクササイズによる治療、骨格筋量減少による肝疾患への影響について行っており、国際学会や国際雑誌にて多数の成果を挙げております。
胆膵グループ
膵胆道良性疾患・悪性腫瘍の内視鏡診断・治療、悪性腫瘍の化学療法を中心に診療を行っております。
内視鏡診断・治療ではEUS、ERCPが2本柱です。巨大総胆管結石や術後再建腸管などの困難例に対しても積極的に内視鏡治療を行っております。また、近年行われているEUSを使用した膵のう胞治療・胆道ドレナージ・膵管ドレナージも行っております。
また研究面では、膵・胆道癌の早期診断・治療の向上のため、micro RNA、新規バイオマーカーやサイトカイン、細胞株を用いた基礎研究、より安全で良好な胆膵疾患の診断法構築のための臨床研究を行っており、これらの成果は論文として国際雑誌へ掲載されております。
・超音波内視鏡下膵のう胞ドレナージ術(左:プラスチック、右:金属ステント)
・超音波内視鏡下胆道ドレナージ術・・・超音波内視鏡を用いて胃から肝内胆管を穿刺し、狭窄部に金属ステントを、肝内胆管と胃をプラスチックステントでつなぐ。
・基礎研究・・・膵胆道癌症例の血液・組織から得たバイオマーカーを細胞・マウス腫瘍モデルを用いた実験で診断・治療の向上を検討しております。