公立大学法人 福島県立医科大学医学部 消化器内科学講座

研修医・医学生の方へ
residents / medical students

Home > 留学だより > 国立がん研究センター中央病院への留学

留学だより

国立がん研究センター中央病院への留学

川島 一公

留学先 国立がん研究センター中央病院 内視鏡科
期間 2018年4月~2020年3月

私は2018年4月より東京の築地にある国立がん研究センター 中央病院の内視鏡科で2年間内視鏡治療の研修する機会をいただきました。充実した研修を行うことができましたので、ここに報告したいと思います。

【国内留学へのきっかけ】

私が消化器内科学講座に入局した理由の1つに、大腸の検査・治療を行いたいという希望がありました。私は、入局当時から大腸の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は腫瘍のサイズに関係なく、一括切除出来る点から大きな魅力を感じていました。しかし、大腸ESDは、解剖学的にも穿孔リスクの高い治療でありました(High risk and High return)。しかし、Low risk but High return となるような大腸ESD手技を本気で学びたいと考え、引地部長・大平教授に相談し、High Volume Centerである国立がん研究センター中央病院の内視鏡科への国内留学をする機会を頂きました。

【国立がん研究センターについて】

私は研修制度で「レジデント短期コース」という制度を選択し、その中で最も長い2年を選択しました。その理由として、福島に戻った際に大腸ESDを1人で完遂し、治療中に起こる問題や合併症にも対処できるようになるためでした。国立がん研究センター中央病院の内視鏡科は齋藤豊先生が科長として、年間内視鏡件数は上部消化管内視鏡が約12000件、下部消化管内視鏡が4000件、上部ESD が750件、下部ESDが200件程度あります。内視鏡室は3階と4階にまたがり、透視部屋を含めて15部屋あり、フル稼働しています。研修中は食道、胃、十二指腸、大腸と幅広く消化管の内視鏡治療を施行することができました。

国立がん研究センター中央病院は、日本だけでなく海外Drも国際留学で勉強しにきています。そのため、レジデントが日本語、英語を使用して毎日朝夕に今後治療する症例提示を行います。病院近傍には築地場外、歌舞伎座、銀座、新橋などがあり、病院外の時間も息抜きしつつ楽しく過ごすことができます。

【学会活動】

2019年4月にチェコのプラハで開催されたESGE(European Society of Gastrointestinal Endoscopy)さらに2019年10月に神戸で開催されたJDDW (Japan Digestive Disease Week )で発表する機会をいただきました。大腸pT1b癌における同時性/異時性転移再発の転移リスク因子解析について、齋藤豊先生・高丸博之先生のご指導のもとで発表させていただきました。その際に、JDDWのポスター優秀賞をいただいた事はとても感慨の深いものでした。また、2019年5月のシカゴで開催されたDDWで阿部清一郎先生のご指導の下でポスター発表をさせていただきました。その他にも多数の研究会や学会で発表する機会をいただきました。

 

【ESDライブ】

内視鏡治療は、国立がん研究センター内でのみ施行するのではなく、教育目的からも日本や海外でESDライブが施行されています。私が留学していた2年間に齋藤豊先生、阿部清一郎先生の介助として中国杭州省、中国貴州省、長野県佐久ライブ、東京国際医療ライブと日本海外を含めて、たくさんのESDライブに参加させていただきました。他施設の有名な先生方の治療を直接見学する機会を頂きました。

【仲間たち】

私が国立がん研究センターに国内留学した時には、同じ立場のレジデントが北は北海道から南は沖縄まで約10名が一緒に研鑽を積んでいました。内視鏡治療して切除した検体を夜一緒に実体顕微鏡で観察したり、お互いにできていない手技へのアドバイスをしていました。夜は海外Drを含めて、銀座や新橋での飲み会も多く親睦と友情を深めることができました。

【最後に】

2年間という長い期間を国立がん研究センター中央病院に国内留学をさせていただいた消化器内科学講座の大平教授、内視鏡診療部の引地部長、当時の大腸グループの片倉先生、藤原先生、郡司先生に深く陳謝いたします。

福島県立医科大学の消化器内科学講座は国内・国外に問わず、勉学する機会を広く設けられています。色々なことを勉強・チャレンジする機会がありますので、このページを見てくださった医学生や研修医の先生方は是非当医局に見学にいらしていただけたらと思います。

ページ上部へ