留学だより
国立がん研究センター中央病院 内視鏡科への留学
中村 純
留学先 | : | 国立がん研究センター中央病院 |
期間 | : | 2013年4月から2015年3月 |
私は2013年4月より東京都中央区にある,国立がん研究センター中央病院の内視鏡科で研修する期間を与えて頂きました.一年間という短い期間の研修ではありましたが,充実した研修を行うことができましたので,ここに報告させて頂きます.
東京都中央区周辺
中央区は,皇居の東側、東京駅に隣接して広がる街で,歌舞伎座のある銀座をはじめとし,中央病院のある築地,もんじゃ焼きで有名な月島などがあります.特に病院の目の前にある,築地場外市場・もんぜき通りは連日観光客で賑わっています.私も,場外市場のお寿司にはお世話になりました.
国立がん研究センター中央病院
国立がん研究センター中央病院は,昭和37年に東京築地に創設されて以来,50年にわたって国のがん医療の中核となる国立機関として日本のがん医療とがん研究を牽引する役割を担い続けている病院です.内視鏡の分野でも,Japan Clinical Oncology Group(JCOG)の臨床試験グループに所属し,新たな治療法の確立のための臨床試験が実施されています.また2014年1月に「内視鏡センター」がリニューアルして開設され,上下2つのフロアに分かれた最新の設備・環境の中で検査・治療を行っています.
消化器内視鏡科
私は研修制度の「レジデント短期コース」という制度を利用しました.このコースは,3ヶ月単位から2年間まで選択可能な研修コースですが,3ヶ月では経験できる症例数や知識・技術の幅には限界があり,ある程度の内視鏡診断・治療が可能な先生がより専門的な症例を経験して,知識・技術を習得するためのコースとなっています.研修が開始される4月になってみると,同じ短期コースの先生が2人,任意研修の先生が2人,レジデント正規コースの先生とがん専門修練医の先生方と,合計して10人程度の研修生がいたことになります.特に研修生が多い年度となったようでしたが,症例数も国内で有数の施設であり,私自身,多くの症例を経験することができました.実際,年間で約12,000件の通常上部消化管内視鏡検査と3,000件の通常下部消化管内視鏡検査で,内視鏡治療では,胃ESDが375件,大腸ESDが169件施行されています(2013年度).
内視鏡科では毎日カンファランスがあり,症例の画像を1例1例確認し,診断や治療方針について検討しています.国外からの留学者も多く英語で討論が行われています.一年を通して留学生がいましたので,非常に国際色豊かな研修となりました.海外の先生方との交流・コミュニケーションを通じ,苦手な英語も多少好きになった気がします.また,研修が終了する直前の3月中旬には,松田尚久先生のご厚意もあって,ブラジルで開催される学会に御一緒させて頂き,なおかつ講演まで担当させて頂くことができました.内視鏡学会総会でも,シンポジウムで発表させて頂き,本当に貴重な経験となり感謝しております.
研修は時に息抜きも大切です.夏の夜,お台場をめぐる隅田川の屋形船は風情があり最高のひと時となりました.国立がん研究センター中央病院での研修に興味を持っていらっしゃる若手の先生,ぜひご検討いただければと思います.
おわりに
最後になりますが,留学という貴重な機会を与えて頂きました大平弘正教授を初めとし,医局・同門会の先生方,関係者の方々へ厚く御礼を申し上げます.