公立大学法人 福島県立医科大学医学部 消化器内科学講座

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国際学会報告

第64回米国肝臓学会議 (AASLD 2013)に参加して

高橋 敦史

平成25年11月1日~5日にAASLDに参加してきました。今年はワシントンDCで開催されました。学会その他、個人的感想などご報告致します。

発表

個人的には2010年以来のAASLD参加で、前回は最終日の発表のため半日のポスター展示で物足りない感じでしたが、今回は初日の発表のため展示時間も十分で、多くの参加者にポスターを閲覧してもらうことができました。

NAFLDにおけるレジスタンス運動の有用性の発表でしたが、数多くの発表があった脂肪肝炎のセッションでしたが運動療法の発表は私のだけでした。(検討数は多くありませんが希少性で採用されたのかと思います) 実用的な内容のためか質問以上に私のポスターを写真に撮る方も比較的多く個人的には大変うれしく思いました。

内容

私が発表した脂肪肝炎のセッションは学会1日目で、基礎・臨床多くの発表がありました。発表の数や注目度から学会の主役はやはりウイルス性肝炎の治療ですが、ポスター会場の雰囲気からもNAFLDも重要なテーマであることが実感されました。ポスターの説明時間(発表者は前で立っている)が設けられておりますが、興味のあるポスターに限って発表者が不在であることも多かったです。

フィブロスキャンは肝臓の線維化だけでなく脂肪の定量も可能で当科でも行っていますが、検診者での多数例での検討で健常者でも比較的高い値(既報では脂肪肝扱い)であるとの報告があり、今後当科での検証も必要と思われました。

自己免疫性肝炎では、新たなモデルマウスの開発の発表が印象に残りました。AIHモデルマウスはこれまでノックアウトマウスが主流ですが、IL-12発現のアデノ随伴ウイルス AAVを静脈注射し感染させることで、AIH様の病態を呈するマウスを作製できたと報告しておりました。AIHモデルマウスの開発にはノックアウトマウスの作成が主流であり、どの分子をノックアウトするかというコンセプトのみならず、技術的・費用的にも高いハードルと思われていましたが、感染マウスでの発表により今後の新たなAIHモデルマウスの開発に向け大きな一歩と考えられます。 

世界一の肝臓学会であり注目度も違いますし、そこで自分の研究結果を発表できることは名誉なことです。 教育的なセミナーはチケット制であり聞きたい場合には学会参加費以外にもセミナー参加費用を支払う必要があり、チケットが完売してしまうと参加できないことになります。(学会参加時に参加したいセミナーのチケットを押さえておく必要があります) 参加費も合わせると、費用のそれなりにかかります。また会場ポスター以外に、事前登録された電子ポスターも閲覧できるコーナーがあり、発表曜日に関係なく自由に閲覧できますが電子ポスター登録自体されていない演題も多くありました。発表内容や演題の豊富さを考慮すると、学会場にいつまでいても飽きることはありません。

ワシントンDC

留学経験もなく、アメリカも3度目の完全なお上りさん状態の自分ですが、ガイドブックを片手に現地を散策する時間も作りました。(時差ボケによる集中力の欠如、開催地の観光スポットの誘惑などを考慮し割り切ることも重要です。) 

見どころが多すぎて切がありませんが、ワシントンDCは一言でいえばアメリカという国家を感じられる街だと思いました。学会前の州議会の対立も解除され、無事にスミソニアン博物館も訪問できました。

次回のワシントンDCでのAASLDの開催はしばらく先だと思いますが、また是非訪れたい場所になりました。

久留米大学の先生方と

単身での参加ではお気軽な反面、夕食の時間にはやはり少しさびしい思いもします。しかし、帰国日の前夜は久留米大学の先生方にお誘い頂きましてご一緒させて頂きました。ステーキハウスでの夕食でしたが、ステーキの大きさに何度もアメリカを訪れている久留米大学の先生方も驚かれておりました。おいしいワインも頂きながら楽しいひと時を過ごすことができました。

また、久留米大学出身でベルギーの大学でスタッフをされている先生から、福島へ対するお見舞いをいただきまして大変うれしく思いました。
久留米大学の先生方にはいつも大変お世話になっておりまして、この場をかりて御礼申し上げます。

若い先生方・学生の皆様へ

海外の学会参加は国内の学会とはまた違った雰囲気があり、最先端の肝臓病学を吸収できる機会であり大変充実しています。

また、同じ日本からの先生方も数多く参加し発表されており、大変励みになります。
世界への扉はいつでも、だれにでもすぐそばにあります。少しだけ勇気を出してノックしてみましょう。必ず扉は開くはずです。

最後に今回の発表にあたり、研究のご指導を頂いております大平教授をはじめ、研究にご協力頂き、学会中に業務を負担して頂きました医局の皆様とスタッフの皆様に深謝申し上げます。

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