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研究内容のご紹介
リウマチ膠原病内科学講座の研究テーマについて
私たちは、リウマチや膠原病の早期診断とより良い治療法の開発を目指して、基礎研究と臨床研究の両面から取り組んでいます。当講座では「福島から世界へ、患者さんの笑顔のために成果を還元する」ことを合言葉に、下島教授を先頭にスタッフ全員で協力し、研究や臨床で得られた知見を積極的に発信しています。
基礎研究テーマ
- 自己炎症疾患の病因、病態シグナル伝達およびバイオマーカーに関する研究
- 関節リウマチにおける免疫チェックポイント分子と炎症病態形成のメカニズムの解明研究
- 高齢発症関節リウマチの自己反応性T/B細胞の特徴と治療標的の解明研究
- ANCA関連血管炎の難治性病態と治療標的解明研究
- 全身性エリテマトーデスの病態における、転写因子Fli-1の関与に関する研究
- 神経精神ループスの病態における自己抗体・バイオマーカーについての研究
関節リウマチ(RA)や成人発症スチル病(AOSD)を中心に、炎症性リウマチ性疾患や自己炎症性疾患の病態および疾患活動性に関わる細胞内シグナルやサイトカインプロファイルの研究を行い、バイオマーカーや治療標的に関する成果を報告してきました。また、ANCA関連血管炎の重症化および治療標的の解明を目指した免疫シグナルの解明研究にも取り組んでいます。
RAでは、TIM-3/Gal-9経路とよばれる免疫チェックポイント分子、さらにTIM-3の会合分子であるCEACAM1に着目し、炎症性サイトカインとのクロストークを明らかにすることで、RA患者における免疫応答の制御機構や炎症病態形成における新たな知見を明らかにしています。また、近年増加が問題となっている高齢発症RA(LORA)の病態を解明するために免疫細胞の機能解析を行っています。
AOSDにおいては、サイトカインアレイを用いた研究から病態に関わる様々な成果を発信してきました。血清サイトカインとGal-3およびその会合分子M2BPGi、さらに自己炎症に関与する酵素Caspase-1との関連を明らかにし、高疾患活動性やマクロファージ活性化症候群を判定するバイオマーカーを確立しました。また、マクロファージの活性化に関わる細胞内シグナルの研究にも着手しています。
全身性エリテマトーデス(SLE)においては、広く免疫担当細胞の細胞内シグナル伝達に注目した研究に取り組んでいます。特に、転写因子Fli-1に注目してループスモデルマウスを用いた基礎研究を継続し、ループス腎炎病態における炎症性サイトカイン、ケモカインの制御機構についての解析を継続しています。
臨床研究テーマ
- ANCA関連血管炎の早期診断と治療戦略に関わる疫学的背景と臨床症候に関する研究
- 多施設コホート(LUNA レジストリ)を用いた臨床疫学研究
- リウマチ性疾患における生物学的製剤・JAK阻害薬の有効性や安全性の解明研究
- 全身性強皮症の難治性消化管障害の病態解明と新規治療戦略の確立
- 炎症性筋炎の自己抗体に関連する難治性予後の研究
高齢発症のANCA関連血管炎患者の臨床的特徴を解析して報告するとともに、血管炎にともなう骨格筋障害をはじめとした早期診断に直結する臨床的特徴の解析研究を継続しています。
SLEでは多施設共同レジストリ研究(LUNA コホート)に参画し、ミコフェノール酸モフェチルの安全性と有効性に注目した研究成果の報告に結びつけました。SLE患者の臨床的特徴における男女差についての研究にも取り組んでいます。また、当科独自に初発SLE患者のコホート研究も行っています。
RAおよび家族性地中海熱や大型血管炎などの希少疾患を対象に、生物学的製剤やJAK阻害薬の有効性や安全性に関する実臨床成績の解析を行い、福島県内の医療施設と連携して年齢や抗体プロファイルごとの特徴解明を目指したコホート研究を行っております。
全身性強皮症に合併する難治性の消化管障害に着目し、大量ガンマグロブリン療法などの新規治療の有効性・安全性を検証しています。
炎症性筋炎では様々な自己抗体が判明する一方で長期予後については不明な点も多く、前向きにその特徴について解析研究を行っています。