公立大学法人 福島県立医科大学医学部 消化器内科学講座

研修医・医学生の方へ
residents / medical students

Home > 留学だより > University of Texas MD Anderson Cancer Centerでの留学生活

留学だより

University of Texas MD Anderson Cancer Centerでの留学生活

鈴木 玲

留学先 テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター
(University of Texas MD Anderson Cancer Center)
期間 2011年7月より

ヒューストンについて

ヒュースンの人口はNY, LA, Chicagoに次ぐ全米第4位の規模を誇り, 石油産業, NASA
Johnson Space Centerに見られる宇宙航空産業, そして全米最大級の規模を誇る医療コンプレックス, Texas Medical Center, を中心とした医療産業に支えられています. 大都市の割に物価が安く, 近隣の州からの移住者の他, メキシコ等からの移民で人口は更に増え続けています. NASA以外にはあまり観光施設のない場所ですが, アメリカ4大スポーツのうちNFL(Texans), MLB(Astros), NBA(Rockets)が揃う都市でもあり, スポーツ観戦好きにはまたとない場所です.

MDAについて

留学先のテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター(MDA)は, 施設の立ち上げに辺り経済的に援助した綿花富豪Monroe Dunaway Andersonさんの名前を冠する, 全米第一のがん拠点病院です. 「Making cancer history」のスローガンの元, 約2万人の職員が一丸となり, がん撲滅のために臨床・研究に従事しています. 最近では1960年代のアポロ計画にあやかり, 「Moon Shot Program」が立ち上げられ, 公募で選ばれた6つのリサーチグループに対して総額約1000億円に上る研究助成が予定されています. 物事の優先順位を明確にし, その対象に対して人的・財政的資源を惜しみもなく注ぐアメリカの力強さを間の当たりにしている思いです.

仕事について

私の所属する部署はMDAの中で主に消化器内視鏡診療に携わる部署であり, 会津医療センターの入澤先生, 渋川先生に続き, Manoop S. Bhutani先生の元で仕事をしております. 仕事の内容は施設や国内のデータベースを用いた臨床研究, そして内視鏡を用いた動物実験. これらの研究結果の一部は, 既に国際学会や国際雑誌で筆頭著者或いは共著者として発表する機会に恵まれました. また, 2012年より腫瘍外科のJason B. Fleming先生のラボで仕事をする機会を得, 現在は膵臓癌に対するラボでの仕事をメインにしております. ラボは中国人4名, アメリカ人1名, インド人1名, そして私からなる小さなラボですが, 毎週のlab meetingの他, 内外からの著名な研究者を招いたmorning conferenceがあり, 研究を始めたばかりの私にとって貴重な勉強の場となっております. ラボでは抗癌剤の補助治療に関する基礎研究が行われており, その一環として, 私はナノ粒子用いた新規ドラッグ・デリバリー・システムの基礎検討に携わっております. 個人的には, ここで得られた知識・経験をもとに, 将来,臨床検体を用いた橋渡し研究を立ち上げられればと考えています.

私生活について

実験の都合で土日祝日出勤をする事もありますが, 日本での生活に比べ予定が立てやすく, 週末は州立公園でのピクニックをする等, 家族と共有する多く取れております. 6歳の長男と4歳になる長女は現地の生活に逸早く溶け込み, 親の話す英語にダメ出しをする程に英語が上達しております. 私自身も6歳から7歳まで英国で生活した事がありますが, 自分の子供も同じ経験をしている事に感慨を覚えると供に, 帰国後の英語教育に今から頭を悩ませております.

 

後輩・学生へのメッセージ

私の好きな言葉に『求めよ, さらば与えられん. 尋ねよ, さらば見出さん. 門を叩け, さらば開かれん』というものがあります. 皆さんも自分の目標を明確にし, まず, 新しい事・環境の中へ足を一歩踏み出してみて下さい. 必ず後押しをしてくれる人がいるはずです. 私自身も,人一倍ある失敗談も交え,アドバイスできると思います。

末筆になりますが, 留学という貴重な機会を与えて頂いた大平弘正教授を初め, 医局・同門会の先生方, 関係者の方々へ厚く御礼を申し上げます.

ページ上部へ