公立大学法人 福島県立医科大学医学部 消化器内科学講座

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研究内容のご紹介

肝臓分野

腸内細菌と自己免疫性肝疾患

腸内細菌叢と疾患発症との関連性が盛んに研究されており, 炎症性腸疾患などの消化器疾患のみならず, 肥満や糖尿病など代謝性疾患や自己免疫性疾患との関係が注目されている. 腸内環境の調整あるいは腸管免疫系を標的とする治療薬や予防法が実現する可能性があり, 自己免疫性肝炎(AIH)や 原発性胆汁性肝硬変(PBC)といった原因不明の自己免疫性肝疾患において, 糞便, 呼気や唾液などを用いて腸内細菌叢との関連を解析することで, 疾患発症や病態の解明を試みている.

各種慢性肝疾患における画像診断および血液学的検査を用いた
肝線維化評価並びに肝発癌との関連性の評価

慢性肝疾患診療において肝線維化を診断することは慢性肝疾患の進行・改善や発癌リスクの予測などの重要な指標であるが, 侵襲性の高い組織診断が実施し難い状況となった現在, 血液学的検査, 画像診断の活用が期待されている. 本研究はⅣ型コラーゲン, M2BPGi等の血液学的検査およびMRエラストグラフィ、フィブロスキャン等の画像診断について, 各種慢性肝疾患における肝線維化の評価および肝発癌との関連を検討し, その有用性を確認することを目的とする.

原発性胆汁性肝硬変における抗セントロメア抗体と血管障害に関する研究

原発性胆汁性肝硬変(PBC)では, 種々の自己抗体が検出されることが知られており、抗セントロメア抗体(ACA)陽性例も多い(Saito H, Ohira H, et al. Fukushima Med J Sci 2013).また, Raynaud現象を示す症例では, 手指爪郭毛細血管に形態的な異常所見が認められ, 我々は肝疾患患者のキャピラロスコピーを用いた第4指の爪郭毛細血管の観察にて, ACA陽性のPBC例に手指爪郭毛細血管異常が高頻度に認められることを明らかとした(Monoe K, Ohira H, et al. Hepatol Res 2014). 本研究では, ①PBCにて手指爪郭毛細血管所見を認めACA陽性例の患者血清を用いて, ACAによる血管内皮細胞障害機序を明らかとすること, ②肝機能異常者における手指爪郭毛細血管所見とPBC診断との関連を前向き検討することを目的とし, PBCの新たな病態解明を目指したい.

非アルコール性脂肪肝疾患におけるレジスタンス運動の効果と機序の解明

非飲酒者の脂肪肝(NAFLD)は,肥満を基盤に形成されメタボリック症候群の肝臓版と考えられている.NAFLDの治療には食事・運動による減量が効果的とされている.運動には歩行やジョギングなどによる有酸素運動と筋肉を鍛えるレジスタンストレーニングがあるがNAFLDのレジスタンス運動の効果については不明な点が多い.また,一般にレジスタンストレーニングはトレーニング器具を要することが多いが,スクワットとプッシュアップといった簡易なレジスタンストレーニングを用いてNAFLDに対する運動効果の検証を行っている.これまでの研究でプッシュアップとスクワットは,年齢や性差,高血圧,糖尿病などの基礎疾患に関係なく実施できた.これらの運動により肝機能、NAFLDの基礎病態であるインスリン抵抗性および肝脂肪化が改善し筋肉量が増加した.筋肉量の増加が肝酵素の改善に関連していることも確認した.(Takahashi A, Abe K, Ohira H, et al.Int J Sports Med 2015) 一方、近年骨格筋由来のサイトカイン(マイオカイン)が糖・脂質代謝を改善させることが明らかとなっており,NAFLD病態におけるレジスタンス運動、骨格筋およびマイオカインの関連について検討を進めている.

非アルコール性脂肪肝疾患における睡眠の影響の解析

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態において閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の関与が指摘されているが、不眠症に関しては不明な点が多い.我々は女性において短時間睡眠が脂肪肝のリスクとなることを報告した.(Imaizumi H, Takahashi A, Ohira H, et al. Obes Facts 2015) 短時間睡眠による脂肪肝形成に至るメカニズムについての基礎的検討を進めている.

HCV感染を防ぐ新規阻害抗体の開発

Hepatitis C virus(HCV)感染は高率に慢性化して肝硬変や肝癌に至る難治性疾患であり、本邦における感染者数は約200万人と推定されている。最近direct-acting antivirals (DAAs)が新規HCV治療薬として導入されているが、これらは全てHCV持続感染後の増殖抑制を目的としたものであり、HCVの感染予防法は未だ確立されていない。我々は、本学基礎病理学講座との共同研究によってHCV侵入に関わる宿主因子をターゲットとした新規阻害抗体の作製に成功し、現在その有効性、安全性の検討を進めている(特許申請中・論文投稿準備中)。

切除不能肝細胞癌に対する新規塞栓物質の導入、評価

切除不能肝細胞癌に対する低侵襲治療として肝動注化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization:TACE)は重要な役割を担っている。本邦では2014年に新規塞栓物質として薬剤溶出性ビーズ(drug eluting beads:DEB)が導入され、TACEにおけるless toxic new optionとして期待されている。当科では初年度34件のDEB-TACEを施行し、その有用性や注意点、適応や課題について検討・評価し、学会等で発信している。

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